ジャズは黒人音楽から発生した、というのはよく知られていますが、現代のスタイルに直接的な影響を与えたのは、1870~90年代。黒人たちが多く住むセントルイス、メンフィス、ニューオーリンズなどの都市において確立された「ラグタイム(ragtime)」というピアノの演奏スタイルでした。左手で4分の2拍子のリズムを低音で弾き、右手でシンコペートする高音のメロディを弾く、というものでした。しかし残念ながら、この頃の音源は残されていません。また、「ジャズ発祥の地」はニューオーリンズだとされていますが、「ジャズ」の語源自体も含め、詳しいことはわかっていません(Wikipediaの同記事より)。ともかく、ラグタイムが黒人音楽として流行したことにより、20世紀に突入したところで、ジャズは人々に認知される大衆音楽となっていったのです。
Moonlight Bay(ムーンライト・ベイ) | |
1912年の曲です。これを題材にミュージカル映画も制作されました。 |
Alexander's Ragtime Band(アレクサンダーズ・ラグタイム・バンド) | |
実はこれ、曲名なんです。先述した「ラグタイム」として作られた楽曲で、ニューヨークのバーでウェイターとして働いていたイスラエル出身のアーヴィング・バーリンが1914年に作詞作曲し、大ヒットしました。ウェイターとは言っても、客の求めに応じて歌や演奏をしていました。彼はユダヤ人でしたが、黒人音楽をポピュラーにするという役目を担ったのです。 |
St. Louis Blues(セントルイス・ブルース) | |||
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初期のジャズの中でも、現在に至るまで高い知名度を誇っている楽曲です。1914年に発表されました。これを作詞作曲したウィリアム・クリストファー・ハンディの半生を描いた、この曲と同名の映画が1923年に公開されています。余談ですが、宮崎あおいが主演したNHKの連ドラ「純情きらり」では、この曲が頻繁に登場しています。 |
Indiana(インディアナ) | |
インディアナ州出身のジェームズ・フレデリック・ハンリーが自身の故郷をイメージして作曲し、1917年に発表されました。これを最初に演奏したオリジナル・ディキシーランド・ジャズ・バンド(略称ODJB)が出したレコードこそ、世界で最初のジャズレコードなのです。つまり、それ以前の楽曲たちはオリジナル版がレコードという形で残っていない、ということでもあるのです。 |
下は1980年にベニー・グッドマンが演奏した映像です。